ビデオ版で口コミからカルト的な人気を博し、後にハリウッドでもリメイク(『THE GRUDGE』)された清水崇監督の『呪怨』(2003年劇場版)。強い怨念を抱いたまま死んだ者の呪いが、その場所に触れたすべての伝播していくという、逃げ場のない理不尽な恐怖を描きます。

「佐伯伽椰子」と「俊雄」という、日本ホラーの歴史に残る強烈なキャラクターを生み出し、布団の中や階段、仏壇など、日常の安心できるはずの空間が次々と恐怖の対象に侵食されていく演出が秀逸です。「ア、ア、ア…」という喉を鳴らす独特の発声(デスボイス)は、観る者のトラウマとなりました。

因果応報ではなく「ただそこに行ってしまったから」という理由だけで呪われる不条理さが、日本的ホラーの新たな形を世界に提示しました。