「全員悪人」というキャッチコピーの通り、登場するヤクザ全員が己の欲望のために平気で裏切りと騙し合いを繰り広げる、北野武監督のバイオレンス・エンターテインメント『アウトレイジ』(2010年)。関東一円を仕切る巨大暴力団「山王会」の内部で、直参組織とさらにその末端の組との間で、些細なトラブルから血で血を洗う壮絶な権力闘争が巻き起こります。
かつての任侠映画にあったような「義理人情」は微塵もなく、ただ損得勘定と保身だけで冷酷に人が殺されていくピカレスクロマン。歯科医院のドリルやカッターカッターなど、日常の道具を使った痛々しい暴力描写と、「バカヤロー!」「コノヤロー!」という怒号が飛び交う独特のテンポ感は「北野無双」と呼ぶべき完成度を誇ります。
大ヒットを記録し、後に続く『ビヨンド』『最終章』の三部作として北野映画最大のヒットシリーズとなりました。