後に『パプリカ』を生み出すことになる今敏監督の華々しい長編デビュー作『パーフェクトブルー』(1997年)。清純派アイドルから女優へと転身した未麻が、自分のイメージと現実のギャップに悩み、さらに熱狂的なストーカーの影や、周囲で起こる連続殺人事件によって、自我の境界線を失っていくサイコサスペンスです。

アニメーションという媒体でありながら、あえて実写のような生々しい猟奇的表現と、現実・夢・劇中劇が複雑に絡み合う高度な脚本構造を採用。「私はいったい誰?」というアイデンティティの崩壊を、観客までもが追体験させられるかのような圧倒的な演出力を見せつけました。

ダーレン・アロノフスキー監督の『ブラック・スワン』(2010年)などに多大なインスピレーションを与えるなど、ハリウッドの映画作家たちにも現在進行形で強烈な影響を与え続けている伝説的作品です。