2016年に公開された『シン・ゴジラ』は、特撮映画の原点回帰と、現代日本社会への鋭い批評を融合させた衝撃作です。庵野秀明総監督による、徹底した情報量とスピード感あふれる演出は、既存の「怪獣映画」の枠組みを完全に破壊し、再構築しました。

本作の主役はゴジラであると同時に、「日本という国」そのものです。突如として現れたゴジラに対し、前例のない事態に右往左往する官僚組織や、政治的駆け引き、そして自衛隊の運用など、徹底したリアリズムで描かれる「現実対虚構」の構図が観客を圧倒しました。300人を超える豪華キャストが次々と登場し、早口のセリフで情報を処理していく様は、観る者に強烈な没入感を与えます。

また、鷺巣詩郎による新曲と、伊福部昭による往年の名曲を組み合わせた音楽演出も完璧です。震災後の日本が抱える不安と、それを乗り越えようとする人間の意志を力強く描き出した本作は、日本映画界に新たな伝説を刻みました。