2018年にカンヌ国際映画祭で最高賞のパルム・ドールを受賞した『万引き家族』は、是枝裕和監督が「家族とは何か」という自身の長年のテーマを極限まで深掘りした名作です。東京の下町で、万引きなどの軽犯罪を繰り返しながら身を寄せ合って暮らす、一見どこにでもいるような家族。しかし、彼らは血の繋がりがない他人同士の集まりでした。

安藤サクラの文字通り魂を揺さぶるような演技と、樹木希林の圧倒的な存在感、そしてリリー・フランキーの軽妙ながらも哀愁漂う佇まいが、この偽りの、しかし真実の愛に満ちた家族の姿をリアルに描き出しています。物語は、彼らが隠していた「真実」が暴かれていく過程で、現代社会が抱える貧困、児童虐待、孤独死といった深刻な問題を鋭く突きつけてきます。

正しいこととは何か。本当の絆とはどこにあるのか。細野晴臣による静かな旋律とともに綴られる彼らの物語は、観る者の倫理観を激しく揺さぶり、深い余韻を残します。世界を魅了した是枝映画の集大成とも言える作品です。