黒澤明監督による1961年の作品『用心棒』は、痛快なアクションとブラックユーモアが冴え渡る傑作時代劇です。三船敏郎演じる「桑畑三十郎」と名乗る凄腕の浪人が、対立する二つのヤクザ組織が牛耳る宿場町にふらりと現れ、巧みな知略で両者を共倒れへと導いていく様を描いています。
本作の魅力は、何と言っても三十郎の圧倒的な強さと、その裏にあるニヒリズム、そして時折見せる人間臭さにあります。マカロニ・ウェスタンの先駆とも言える本作は、セルジオ・レオーネ監督の『荒野の用心棒』によって非公式にリメイクされるなど、世界の映画人にも絶大な影響を与えました。
佐藤勝による軽快で特徴的な音楽や、望遠レンズを使った迫力ある決闘シーンの演出など、黒澤組の卓越した技術がいかんなく発揮されています。エンターテインメントの極致とも言える本作は、時代劇の枠を超えて今なお多くの観客を魅了し続けています。